頭、鼻、のどのどの痛み
のどの痛みだけの場合は細菌感染のチェック
通常の風邪は、のどの痛みだけでなく、せきや鼻水の症状があります。風邪はウイルスが原因で起こるもので、よほど抵抗力が落ちていない限り数日で症状が改善してきます。でものどの痛みと熱だけで、鼻水や咳がほとんど出ない場合には、のどの粘膜に細菌感染が起こっている可能性があります。疲れや風邪気味などで抵抗力が弱っているとき、化膿性連鎖球菌やブドウ球菌、インフルエンザ菌、肺炎球菌などといった細菌が増殖してのどや扁桃腺に炎症を引き起こすのです。なかでも溶連菌(ようれんきん)、正式にはA群ベータ溶血性連鎖球菌と呼ばれる細菌は感染力が強く、しっかりと抗生物質で治療する必要があります。
溶連菌感染の特徴は
溶連菌感染の特徴は、感染力が強いことです。とくにせき、くしゃみによる飛沫感染で子供から大人へとうつる家庭内感染が多いのが特徴です。潜伏期間は2-5日間で、38度以上の高熱、のどの痛み、首筋のリンパ節が腫れる、頭痛などの症状が出現します。また発病の当日から2日目頃に数ミリ程度の赤いぶつぶつがワキや股の内側に現れ、次第に手足に広がることがあります。溶連菌が産生するエリスロトキシンという毒素が原因です。通常は発病から1週間程度で皮むけがおこって皮膚症状は改善します。
溶連菌の治療
溶連菌かどうかは、のどをぬぐう迅速検査で10分以内に診断可能です。検査の結果、溶連菌感染症だと判明した場合は、ペニシリン系の抗生物質を内服する治療を開始します。2、3日抗生物質を服用したら症状は驚くほど良くなってしまいます。でも元気になってもしっかりと10日間飲み続けないと、繰り返し再発してしまう病気なのです。また以下の病気の合併症リスクも高まることが知られています。いずれも溶連菌感染後、数週間で発症します。
急性腎炎
手足のむくみ、血尿や蛋白尿
リウマチ熱
関節炎や心弁膜症(心臓の弁の働きが悪くなってしまう)
血管性紫斑病
激しい腹痛、手足のむくみ、関節痛、皮膚の点状の赤い発疹
性病の菌がのどの痛みの原因のこともある
性病の原因菌がのどに感染することもあります。淋菌やクラミジア菌がのどの粘膜で増えると、扁桃腺が化膿して39度の熱が出ることもあります。一方で、のどの違和感がつづく程度の場合もあります。性病に感染した可能性がある場合は、検査を受けることをお勧めします。当院ではうがいをしてそこから菌のDNAを検出する検査を行っています。結果が出るまでには1週間かかりますが、最も正確な検査です。そのほか慢性的なのどの痛みとともに、のどや扁桃腺の粘膜にえぐれたような潰瘍や大きな口内炎ができている状態では梅毒感染の可能性もあります。こちらは血液検査で調べます。
怖いのどの痛み
ただの風邪だと思っていたら危険な病気が隠されていることもあります。のどの痛みが強くつばが飲み込めない、よだれが垂れる、こもったような声しか出せない、呼吸が苦しい、口を大きく開けられないなどの症状がある場合は要注意です。以下のような病気があります。
急性喉頭蓋炎
声帯のすぐ上にある喉頭蓋という部分におこる細菌性の炎症。喉頭蓋が急激に腫れることで、気管の入り口をふさいで窒息してしまう危険性があります。
扁桃周囲膿瘍
扁桃腺から周囲ののどの粘膜にかけて細菌感染が広がり、膿がたまっている状態。切開して膿を出さなければ症状は改善しません。
口底蜂窩織炎、頸部血栓性静脈炎
それぞれ舌の下部あるいは頚部の皮下組織に細菌性の炎症がひろがった状態。こちらも集中治療が必要な病気です。
これらは医師として絶対に見落とさないように気をつけなければいけない病気です。可能性があれば直ちに総合病院の救急外来へ紹介します。
- 診療科目
- 内科・皮膚科・アレルギー科
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- 東京都渋谷区代々木
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