皮膚顔の赤み、かゆみ
化粧品かぶれ → 接触性皮膚炎
ある朝起きたら顔が腫れぼったく感じる。鏡を見ると顔が真っ赤に腫れあがっていた。なんてのは私のようなおじさんはともかく、女性にとっては悪夢ですよね。そして女性の場合、このような症状の原因として一番多いのが化粧品です。新しい化粧品により顔面の皮膚に急性のアレルギー反応が起こり、炎症を伴っている状態です。なおるのに数日、ときには1週間かかることもありますが、保湿剤や短期間のステロイド使用で治療します。
外出から帰って鏡を見ると、顔や首などの露出部の皮膚が赤くなっていてかゆいという場合は、紫外線による日光皮膚炎や花粉によるアレルギー性皮膚炎の可能性があります。大気中のPM2.5などの刺激性微粒子が原因の場合は、アレルギー反応ではなく化学物質の直接刺激による皮膚炎で、ちりちりした痛みを伴うことが多いです。
汗で顔が赤くなる → 顔面湿疹
アトピー体質の方の湿疹が顔面の汗をかきやすい部分に生じることがあります。また花粉やほこりなどの影響が露出部である顔面に強くでてくることもあります。紫外線による日光皮膚炎は6月から8月に多く見られます。アトピー性皮膚炎では皮膚のバリア機能が弱くなっているために、外部からの刺激で湿疹症状が悪化しやすいのです。症状悪化時には保湿剤とともにステロイド外用、おちついたらプロトピック軟膏や非ステロイド系抗炎症薬外用を行います。
顔の細菌感染 → 伝染性膿痂疹(とびひ)
皮膚の細かな傷から細菌が侵入して炎症を起こした状態です。顔面の一部から次第に広がる皮膚の赤みで痛みをともないます。化膿した浸出液やかさぶたがみられます。もちろん顔面以外の部分にも起こることがあります。皮膚の表面に存在する黄色ブドウ球菌や表皮ブドウ球菌、連鎖球菌に対して有効な抗生物質の外用とともに、症状に応じて抗生物質内服を行います。
鼻周囲の赤みと皮むけ → 脂漏性皮膚炎
鼻周囲、眉間、額の頭皮の生えぎわなど、汗をかきやすい場所や汗がたまりやすい場所が赤くなります。かゆみをともなったり、皮むけが生じることもあります。汗で湿疹になっているだけではなく、汗が大好きなマラセチア菌というカビの一種が原因で皮膚の炎症が起こっている可能性が高いです。これを脂漏性皮膚炎といいます。炎症を抑えるための弱いステロイドとマラセチア菌をやっつける抗真菌薬の外用を行います。
顔の中心が赤くなってぴりぴりする → 酒さ
顔面の中心部、とくに鼻の発赤と腫脹が目立つ場合には「酒さ(しゅさ)」という病気の可能性があります。中高年の人の顔面に生じる慢性の炎症で、鼻や眉間、頬に赤みやにきびのようなぶつぶつができ、ほてり感やピリピリした違和感をともないます。慢性化すると鼻がこぶのように盛り上がってくるなどの症状が出現します。皮膚の赤くなった部分を拡大して見ると、毛細血管が拡張しているのがわかります。紫外線や気温の急激な変化、香辛料やアルコールによって症状が悪化します。細菌感染が原因ではないのですが、皮膚の炎症をおさえる作用がある抗生物質のビブラマイシン内服が有効です。湿疹と間違われてステロイドを外用するとかえって悪化してしまいます。また顔面にステロイド外用を長期継続したときにも、酒さと同じような症状が出現することがあります。これを「酒さ様皮膚炎」といいます。
唇の一部が腫れて水ぶくれ → 口唇ヘルペス
口唇の一か所に、数ミリから1センチ程度の範囲でピリピリ、チクチクする違和感が生じ、半日ほどで赤く腫れてきます。次第に赤い水ぶくれができ、かさぶたになって治ります。水ぶくれになっている状態で細菌が感染すると化膿します。唇の一か所に症状が出てくることがポイントで、口唇全体が腫れる場合にはヘルペスよりも口唇炎を考えます。
口唇ヘルペスは単純ヘルペスウイルスによる感染症です。このウイルスは感染力が強く、唇をつけたタオルやグラスからも感染することがあります。手で口唇ヘルペスに触れてしまった場合も、手を洗わなければ数時間は感染する可能性があります。乳幼児期に感染した場合にはほとんど症状がなく、大人になってから再発すると唇に水泡が出現します。風邪をひいたとき、疲れがたまっているとき、紫外線を浴びた、ステロイドの使用などをきっかけに何度も再発します。成人の半数近くは単純ヘルペスウイルスに対する抗体が陽性となっています。つまり知らないうちに感染しているわけですね。
治療は抗ウイルス薬を内服します。唇の一部に違和感があるけれども、まだ水疱ができていない初期の段階で内服すると、悪化を防ぐことができます。でもこの薬はウイルスの増殖を抑える薬であり、ウイルスを殺すわけではありません。このためウイルス量を減らすことで再発を少なくすることはできても、治すことはできないのです。
唇がさけてしみる → 口唇炎、口角炎
唇の端に亀裂が生じて食事の際にしみる経験は、かなりの人にあると思います。同時に口唇の乾燥、痛み、かゆみが生じることもあります。傷の部分にカンジダ菌や細菌が感染しているとなかなか治らない場合もあります。抗菌薬や短期間のステロイド外用薬を使用し、その後、保湿をしっかり行うことがすすめられます。これまでに口唇ヘルペスが出現したことがある人の場合は、亀裂になる前に水泡になっていなかったか、よく確認する必要があります。
唇の周りが赤くてぴりぴりする → 口囲湿疹
口角炎や口唇炎のように見えても、唇の周囲が赤く腫れたりざらざらした状態になって、ぴりぴりした痛みがある場合には口囲湿疹が考えられます。唇の周りにニキビのようなぶつぶつができる場合もあります。口唇炎だと考えてステロイドを外用するとかえって悪化してしまうので注意が必要です。治療は保湿を主体として抗菌薬を外用したり、「酒さ」の場合と同様にビブラマイシンやロキシスロマイシンなどの炎症を抑える効果のある抗生物質を内服します。
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