成人病痛風、高尿酸血
めちゃくちゃ痛い痛風発作
とにかく痛いです。風が当たっただけで痛いことから痛風という名前がついています。痛みがあるのは関節です。しかも一つの関節だけが痛むのが特徴です。足の親指の付け根やかかとの関節が腫れて赤くなり、激しい痛みで歩くのもやっとという状態になります。このような本格的な痛風発作になる前に、関節のあたりがむずむずする違和感が出現することもあります。これが痛風発作の前兆です。
尿酸が増えるとどうして関節が痛くなるのか
痛風は関節に尿酸の結晶が沈着した状態です。尿酸は体内でできる老廃物の一つですが、血液中の尿酸値が高い状態(高尿酸血症)がつづくと体内、とくに関節に尿酸の結晶が沈着します。尿酸の結晶は細い針のような形をしています。関節に沈着した尿酸の結晶が運動やストレス、血液中の尿酸値の変動ではがれおちてしまいます。白血球がこれを排除しようとして働き、関節に炎症を起こし、関節が赤くはれて強い痛みをひきおこします。これが痛風発作です。
痛風発作は足の親指の付け根か足首の関節
尿酸は温度が低い部分で結晶になる傾向があるので、手足の先端に症状が起こることがほとんどです。足の親指の付け根、あるいは足首の関節の痛みが典型的です。そのほかにも足の甲やひざ、手首、肘に起こることもあります。膝や肩が痛いという場合は痛風以外の関節炎を考えます。
関節が痛いからといって痛風とは限らない
関節が痛いと思っていても、診察するとアキレス腱や足の裏の腱膜の痛みだったという場合もあります。この場合は痛風以外の可能性を考える必要があります。とくに中年の男性では足底腱膜炎といって足の裏がずきずき痛む病気があります。そのほかにも偽痛風といって、尿酸ではなくピロリン酸カルシムという物質が関節に沈着する病気があります。これは高齢者の膝や手、足関節によくおこります。関節の痛みとともに悪寒を伴う発熱がみられる場合には、細菌による感染性関節炎の可能性も考えます。複数の関節が痛む場合には関節リウマチなどを考慮します。
尿酸値が高くなってしまう食べ物、飲み物
高尿酸血症は
血液中の尿酸値 > 7.0
と定義されています。ではどうして血液中の尿酸が増えるのでしょう?食品に含まれるプリン体が尿酸のもとになることを聞いたことがあるかもしれません。プリン体(Purine)はお菓子のプリン(Pudding)とは関係ありません。プリン環といわれる構造をもった物質の総称で、レバーや白子、エビ、イワシ、カツオなどに多く含まれています。アルコール飲料ではビール、日本酒やワインなどの醸造酒に多く含まれています。とくに地ビールや紹興酒にはプリン体が多く含まれます。焼酎やウイスキーなどの蒸留酒にはあまり含まれていません。ビールを飲みすぎているから尿酸が高いんだ、という説明をうけたことがあるかもしれません。確かにその可能性はあります。
でも、食品のプリン体から作られる尿酸は、血中の尿酸の2割程度に過ぎず、残りの8割は体内の代謝によって作られます。この代謝の効率には個人差があり、半ば体質的な理由で血液中の尿酸値が高くなっていることも多いのです。実際、お酒が全く飲めない人でも尿酸値が高い場合があります。また男性のほうが女性よりも尿酸値が高い傾向にあります。ですから食事制限をしても体質的な要因で尿酸が下がってこない場合もあります。それでもそのほかの成人病予防のためにも、野菜や海藻を多くとるようにして食事内容のバランスと減量をこころがけましょう。また過度の筋トレのような無酸素運動は尿酸を増やしてしまいますので、早歩きや水泳のような有酸素運動を行うようにしましょう。
高尿酸血症のコントロール基準
高尿酸血症の治療方針として、以下のようなガイドラインが定められています。
痛風発作がある、あるいは過去にあった場合 | 尿酸値にかかわらず治療開始 |
---|---|
尿酸値>9 | 治療開始 |
尿酸値>8 腎障害、尿路結石、高血圧、狭心症、糖尿病、メタボリックシンドロームの合併がある場合 |
治療開始 |
尿酸値<8 | 無症状なら食事指導のみ |
治療目標はいずれの場合も血清尿酸値 ≦ 6.0とする。
繰り返しますが尿酸値の治療目標は6以下です。尿酸の正常値の上限は7とされていますが、だからといって尿酸値7を目標とするのは間違いです。関節中にはより高濃度の尿酸が存在しています。そこで血中の尿酸を6以下と低めに設定することで濃度勾配を作り、関節中にたまった尿酸を血中に溶け出させ、ついで尿から排出させるのです。
痛くてもすぐには尿酸値を下げる薬を始めない
痛風発作が起こっている最中は、まずは鎮痛剤を服用する対症療法がおこなわれます。この時点で尿酸値を下げる薬(尿酸降下薬)を開始すると、血液中の尿酸値の急激な変動によって関節内の尿酸結晶がはがれてしまいます。このためにかえって痛みが増してしまいます。痛風発作から1-2週間たって、痛みが改善してから尿酸降下薬を開始します。すでに尿酸降下薬を内服している最中に痛風発作が起きた場合には、尿酸降下薬を中止することなく、鎮痛剤を追加して痛風の症状をコントロールします。血中尿酸値の急激な変動は痛風発作を誘発する危険性があるために、尿酸降下薬は少量から開始して3-6か月で目標の6以下の値に達するようにします。痛みはないけれども足の親指の付け根がムズムズするという痛風発作の前兆の段階には、コルヒチンという薬物を使用することで発作にいたらないようにすることも可能です。
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