皮膚水虫
水虫かもしれない、、、
足裏や足指の間の皮がむけて、かゆくなってきた、、、水虫かもしれない、と深刻な顔でいらっしゃる方もいらっしゃいます。あるいは、水虫とはもう長年の付き合いなんですよ、と笑っている方もいます。いずれにせよ治すべき時にしっかり治しておきましょう。
実際には、水虫の症状にはいろいろな形があります。水虫の初期には炎症が強く出ることがあり、皮膚に赤いぶつぶつした水疱ができます。水疱の中には黄色透明の粘り気のある液がみられます。そのうち水ぶくれが破れて皮むけになってだんだんひろがります。また足裏の皮膚の角質が分厚くなり、粉を吹いたような状態になる場合もあります。かかとの角質が分厚くなり、乾燥して硬くなることはよくありますね。でも実はここに水虫菌が感染していることもあるのです。
薬を塗ったら水虫が悪化した?
水虫は白癬菌(はくせんきん)という真菌(かびの仲間)が皮膚の角質層に感染した状態です。水虫のための塗り薬はさまざまな種類のものが市販されています。市販薬でよくなる場合もありますが、皮膚の状態によってはすぐには水虫治療の薬(抗真菌薬)を使用しないほうがよい場合もあります。水虫と思って市販の薬を塗ったらかえって赤くなって、痛くなってきた、という患者さんをしばしば見かけます。これには二つの可能性があります。
ひとつはそもそも水虫ではなかった可能性。足のかぶれ(湿疹)だった場合、水虫の薬でかえって湿疹が悪化してしまう場合があります。このためにも皮膚の皮むけや水ぶくれの部分を顕微鏡でみる検査をして、白癬菌がいることを確認する必要があります。もう一つの可能性は水虫ではあるけれども炎症が強く、水虫の外用薬を塗ったことでかえって炎症が悪化してしまったことです。市販の水虫薬は、外用後の爽快感を加味するための物質などが追加されていることが多く、これが炎症を悪化してしまう場合もあります。
まず炎症を抑えてから水虫をやっつけましょう
皮膚の赤みやかゆみが強い場合には、まず炎症をおさえるためのステロイド外用薬を1週間程度使用し、赤み、かゆみが改善してから、抗真菌薬を開始します。処方薬の抗真菌薬は添加物がほとんどはいっていないために、皮膚のかぶれなどの副作用を起こす可能性は市販薬よりも少ないようです。角化型白癬では角質が厚いために外用薬が効きにくく、抗真菌薬の内服治療をすることもあります。また頭皮に白癬菌の仲間が感染した状態でも、内服治療を行います。
爪が白く濁ってきたら水虫かも
白癬菌は手足の爪に感染することもあります。とくに足の爪の先端から白色に濁って、ざらざらした感じになります。時間がたつと黄色みがかってきます。また爪が分厚くなってくる場合もあります。爪から白癬菌を検出することで診断を確定します。爪も角質成分からできているので白癬菌が感染するのです。ただし皮膚とは違って角質が分厚いので、爪に居座っている白癬菌を退治することはなかなか難しいのです。
爪水虫の治療は時間がかかる
治療には爪白癬専用の外用薬を用います。濃度が濃いので皮膚に付着するとかぶれることもありますが、全身に対する副作用は少ない安全な治療法です。爪の表面と隙間に塗って治療を続けましょう。48週間続けることで4割以上の人がほぼ完全に治ったとのデータがあります。でも48週っておよそ1年ですよね。根気よく続けてゆきましょう。
抗真菌薬を内服する治療法もあります。この場合、肝機能障害などの副作用がないかを確認するために、月1回の定期的な血液検査が義務付けられています。ラミシールという薬を半年間、毎日続ける方法と、イトリゾールというカプセルの薬を1週間続けて3週間お休み、ということを3回繰り返す方法があります。これらの薬剤にはジェネリック品もありますが、薬の吸収効率が悪く効果が弱いとの報告もあります。治療を開始して白癬菌がいなくなっても、白濁した爪が新しい爪に生まれ変わるのには半年程度かかります。
水虫以外でも爪が変色することがあります
靴による圧迫で爪が褐色に変色することがあります。また手に湿疹がある場合、爪の根元にある爪母基と呼ばれる部分が傷ついてしまいます。このため爪の産生が障害されてしまい、爪の変形、白濁がおこることがあります。爪の表面に横向きの溝が何本かついているような状態は、湿疹の悪化とともに爪の成長が障害されたものと考えられます。そのほか尋常性乾癬という皮膚の角質の病気では爪にくぼみがあり、白い角質のくずがついた状態になっていることがあります。鉄欠乏性貧血の状態だと爪が扁平化あるいはへこんだ状態になります。爪水虫かどうかをしっかり検査することが必要です。
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