Yoyogi Station Sakai Medical Clinic

ストレスで胃がしくしく痛む

ストレスがたまったとき、解熱鎮痛剤を飲んだとき、香辛料の強いものを食べたとき、急にみぞおちのあたりが痛むことがあります。これが急性胃炎です。ひどい場合には胃の粘膜から出血することもありますが、胃の内視鏡検査をしても明らかな異常が見つからない場合もあります。胃が弱ってしまって動きが悪くなると、胃の中に食べ物やガスがたまり、胃の粘膜が引き伸ばされる、あるいは胃がもとのサイズに戻ろうとしてけいれんするように動くことで痛むのです。症状や経過に応じて胃酸をおさえたり、胃けいれんを止めるなどの内服薬を使用します。

魚の刺身を食べたら胃に激痛が、、、新鮮な魚だったのに

新鮮な海の魚、とくにサバ、アジ、イワシ、イカなどを生で食べた後、数時間で激しい胃の痛みが出現した場合、アニサキスという寄生虫による症状の可能性があります。アニサキスとは1－2㎝程度の細長い寄生虫なのですが、これが胃の粘膜にもぐりこむことで強烈な痛みと周囲の炎症を引き起こします。とれたての魚の刺身だから傷んでいるはずはないのに、と思うでしょうが、アニサキスは新鮮な魚のほうがかえって可能性が高いのです。デパートの食品売り場で売られている刺身でも、新鮮なものではアニサキスがいることがあります。緊急内視鏡によって胃の中のアニサキスを確認し、摘出する処置が必要です。

長引く胃の痛みは胃潰瘍かも

数日から数週間にわたって胃が痛む場合、あるいは改善してもすぐ胃の痛みが再発することを繰り返している場合には、胃潰瘍か十二指腸潰瘍の可能性があります。潰瘍とは粘膜がえぐれている状態で、胃酸が胃や十二指腸の粘膜を溶かしてしまった状態です。空腹時や夜間にみぞおちが痛み、食事をすると楽になる傾向があります。背中が痛むこともあります。でも潰瘍があっても3割程度の人には何の症状もないことが知られています。

胃潰瘍、十二指腸潰瘍の最大の原因はピロリ菌

胃潰瘍や十二指腸潰瘍は、ストレスやアルコール、解熱鎮痛剤が原因となる場合もありますが、ピロリ菌も大きな原因の一つであることがわかってきました。胃潰瘍、あるいは十二指腸潰瘍の患者さんの8－9割はピロリ菌に感染しているとの報告があります。現在の保険制度では、まず胃透視検査（バリウムを飲む検査）か胃内視鏡検査（胃カメラ）を行ったうえで、胃・十二指腸潰瘍と判定された場合のみ、ピロリ菌検査に保険が使えます。ピロリ菌検査を先に行う場合は自費診療となります。

てんぷらを食べると胃がもたれるようになった

最近どうも胃の調子が良くないんだ、といった言い方をよくしますよね。食事をした後におなかの上のほうが張ったり重い感じがするんですよね。胃潰瘍のようにすごく痛むというわけではないけれども、鈍い不快感が続く。このような症状は慢性胃炎の可能性があります。この慢性胃炎の中でも、胃の粘膜が薄くなってしまう萎縮性炎はピロリ菌感染が原因になります。また萎縮性胃炎の状態が続くと胃癌になってしまう危険性があるために、早急にピロリ菌検査を行い陽性であれば除菌を行うことが推奨されます。ただし萎縮性胃炎の判定には胃内視鏡検査が必要で、胃透視検査ではだめです。内視鏡検査で萎縮性胃炎と判定されればピロリ菌検査に保険が使えます。ピロリ菌検査を先に行う場合は自費診療となります。

聞きなれない病名だけど患者数は多い「機能性ディスペプシア」

内視鏡検査で胃炎に相当する胃粘膜の異常が見つからなくても、胃もたれの症状を訴える人は実際にはかなりの数にのぼります。このような状態は、機能性ディスペプシアという病名でよばれています。聞きなれない病名ですが、日本人の4人に1人は機能性ディスペプシアになったことがあるという調査結果もあり、決して珍しい病気ではありません。機能性ディスペプシアは症状によって大きく２つのタイプに分けられます。

食後愁訴症候群

食事開始後、すぐに食べ物で胃がいっぱいになるように感じ、それ以上食べられないことが週に３、４回以上ある。

心窩部痛症候群　

みぞおちの不快な痛みや焼ける感じが週に1回以上起こる。食後だけでなく空腹時に起こることもある。

正常な状態の胃は波打つように動いて食べ物と胃液を混ぜ合わせ、それから食べ物を十二指腸へ送り出します。この働きがうまくゆかなくなると、胃の中に食べ物が未消化のまま残ってしまって胃がもたれ、胃の粘膜が引き伸ばされることで痛みが生じるのです。消化管のはたらきを活発にする薬や胃酸の分泌をおさえる薬を用います。漢方薬の併用が有効なこともあります。